横浜市 税理士の新たな展開
債券の発行市場には株主割当のような「債券保有者割当」はなく、ほとんど公募で、ごく一部に「私募」、つまりある特定の法人(または個人)に引き受けてもらう例があるくらいです。
この点では欧米の市場とほとんど同じ(制度的に異なる面もありますが)といっていい特に注目したいのは「転換社債」という有価証券です。
当初は社債の形で発行され、公募します。
ある一定の時期がくると、その社債を購入した人に、「株式への転換」を要請する権利が与えられます。
その時期に、その会社の株価が高く、まだ有望だとなれば株式への転換は有利ですから、ほとんどの人が転換を欲するでしょう。
しかし株価が低かったり、社偵よりも危険度の高い株式を持つのをいやがる人は、そのまま社債の形で持ち続けてもいいのです。
もちろん初めに決められた通りの償還期日がくれば、その社債は現金に換えられます。
この転換社債は、社債と株式との中間的存在ともいえますが、とにかく当初の発行が公募方式で、数年たってから新しい「株主」が生まれるという点では、従来の株主割当方式の変革を促進する要因になったともいえるでしょう。
さて、発行市場はどのくらいの大きさかを毎年の発行額でみるのが一番わかりやすいでしょう。
株主優遇策として無償で株式を発行するケースがあり、これも発行量としては計算すべきかもしれませんが、実際に発行市場に流人する資金をみるという意味では有償増資が重要だからです。
この表では上場会社だけでなく、全国の非上場会社の増資も含めた数字を示しています。
そして上場会社の増資額は少ないときでも全国の半分以上、多いときは90%ほどになることがありますが、これだけ差が大きいのは、株価上昇期に上場会社の増資がふえ、下降期または横ばい期には逆に減ることがわかります。
ところで、これら多量の株式をだれが買い取っているのかを見たいのですが、そうしたデータは今のところ出ていません。
「株主割当・額面発行」がほとんどであった十数年前までは、その推定は可能でした。
つまり最近時点での株主構成をみればよかったのです。
たとえば個人株主が三〇%、金融機関が四十五%、その他が二十五%だった場合、一兆円の増資は個人が三千億円、金融機関が四千五百億円、その他が二千五百億円と考えて大きな誤りはなかったのです。
しかし「公募・時価発行」が大部分となってからは不明になってきました。
株式と同じように、債券の発行市場の規模、毎年発行される債券はその年によって多少変化はありますが、債券発行額は増資額の十五倍ないし二十倍に達しています。
といって、このまま単純な比較をすることは大きな誤りとなります。
なぜなら、株式の方はいったん発行された以上、よほどのことが起きないかぎりこの世から姿を消しませんが、債券には期限があります。
最も短いものならわずか一年間、長いもので七年から十二年で姿を消すのです。
期限が切れると、すぐ追いかけて新しい偵券が発行される場合が少なくないので、期限が短くとも債券の残高はかなりありますが、とにかく、年間発行量だけで単純比較するわけにはいかないのです。
また、株式会社という点だけに限ると、株式の発行高と債券のそれとは大きな差がありません。
なぜなら債券発行総額には、国家や地方公共団体や政府系機関などが大量に発行したものが含まれており、それらを差し引いて計算しなければならないからです。
次に債券の購入先をみますと、そのつど購入者が変わっているにもかかわらず、全体の傾向は大体似ています。
国債は金融機関の消化が大部分であるのに対し、事業債の半分以上を個人が消化しています。
売買市場は文字通り証券を売ったり買ったりするところで、具体的に形のあるところといえば証券取引所です。
そこで、「証券取引所が売買市場だ」ということもあります。
しかしこの取引所は、証券を実際に売ったり買ったりする人や、その売買を円滑にするために必要な会社がなければうまく動けません・だから、こうしたものも含めた広い範囲のものを売買市場という場合もあります。
つまり証券取引所のほかに証券業者、証券金融会社、銀行、株主、投資家などを含めたものが売買市場ということになります。
株式や債券にお金を出す(投資する)者をすべて指しているわけで、個人はもちろんのこと、銀行、証券会社、一般会社、さらに政府や外国人も含めてのことです。
売買を円滑にするために、証券取引所は証券金融会社や銀行の協力を求めています。
こうして株式、社債の売買市場は証券取引所が中心となり、そこへ株主、または投資家と証券業者とが集まって売買し、銀行と証券金融会社とがそれに協力するという形をとっているのです。
売買市場は発行市場があってはじめて生まれるものですから、発行市場の方が重要といえないこともありません。
しかし売買市場がうまく動いていないと、発行市場の方もうまくいきません・なぜなら売買市場が沈滞していますと、新しい株式に払い込もうとしても「あとになっていつでも売ることができるだろうか」という心配の方が先に立ちます。
皆がそう思った結果、新しい投資資金が出てこなければ、発行市場も不振になるだけです。
また、発行市場内にだけとどまって売買市場に現れない株主や債券投資家がいます。
株式や債券を売ろうとせず、長期投資のつもりなのです。
しかしこの人たちにしても、もし売買市場が不振になるとか、動かなくなるとしたら、はたしてじっと株や偵券を持っているかどうか疑問です。
長期投資家という人たちも、売買市場がスムーズに動いている、したがって売ろうと思えばいつでも売れる──という前提に立っているからです。
たとえばもし近い将来に売買市場の動きが止まるおそれが確実にあるとしたら、この人たちは株式や社債を売りに出して、ほかの有利なものに投資することになるでしょう。
証券取引所は証券市場の中核的存在です。
株式、債券などの証をできるだけ集中的に売買し、時々刻々と変わっていく経済・金情勢を価格に反映させるような仕組みを効率的に、公正に作りあげています。
しかもこれからは、一国内だけでなく、世界各地に存在する外国の証券取引所との連携プレーも要求されます。
売買市場の中心は証券取引所だと述べましたが、この証券取引所という存在自体が一般の人にはよく理解できないもののようです。
たとえば東京証券取引所には外国人も含めて毎年七、八万人もの人が参観にきて説明を取引所員から受けるのですが、「非常に風変わりな市場だ」との印象が強烈すぎて、この建物の存在が日本経済の中でどのような地位と役割とを占めているのかを、よく理解しないまま立ち去っていくようです。
考えれば無理のない話で、かなり技術的なことまで知らないと完全にはわからないのが証券取引所だと言えるでしょう。
しかし一般の人は、そのような技術的なことまで知る必要はありませんから、ここではごくアウトラインのところを説明しておきます。
証券取引所は株式や債券を実際に売買する所ですから、空間が必要です。
そのために証券取引所は各地の経済規模に応じた建物と設備とを用意しています。
売買するための空間を一般に「立会場」と呼んでおり、ここに証券会社の社員がやってきて売り物と買い物とを出し合い、株式・債券の売買が成立するわけです。
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